新・改革通信 NO.156(令和2年8月13日) 戦後75年 宗門の若手僧侶が知るべき戦争責任問題(上) ヒトラーを「唯我一人能為救護」と讃えていた宗門の罪は消えない

仏教界で進む“戦争責任問題を後世に伝えていく”取り組み
 今年は戦後75年となる。新型コロナウィルスの感染拡大の中であるが、大きな節目として、全国各地で展示などが企画されている。テーマで目立つのは「語り継ぐ」「未来へつなぐ」というキーワードだ。大石寺のある静岡県では、7月3日から「少年少女と戦争」というテーマで企画展を開催し、若い世代に、10代の少年少女が戦争に巻き込まれた実態を伝えようとしている。
仏教界でも、戦争責任問題をどのように後世に伝えていくか、考察が進んでいる。例えば、『中外日報』では7月8日から「語り、受け継ぐ 平和の思い~戦後75年」という連載を始めた。様々な宗派の僧侶たちが「終戦は反省誓う日」「8月15日に鳴らす鐘に込めるのは、教団が戦争に加担した過去の反省」等とその思いを語っている。


歴史から消し去ることができない戦争荷担の罪
 それに対して日蓮正宗はどうか。終戦50年に多くの仏教教団が「戦争責任」を認め謝罪を表明しているが、日蓮正宗は未だに「戦争責任」を認めることも謝罪することもない。
宗門の若手僧侶のために、宗門が戦時中に行った行為を列挙する。
①法主が「未曾有の大戦に必勝を期せむ」等の「訓諭」を発して、信徒を扇動した。
②法主や僧侶が侵略戦争を「出世の本懐」と言い、戦争に勝つことが大聖人の念願であると言って、大聖人の言葉を利用して、戦争に荷担した。
③教義を国家神道に合わせるため、法主をはじめ長老たちが「神札の受容」「御遺文の削除」「御書の発禁」「観念文の改変」「本地垂迹説の使用禁止」を決定した。
④本山の木々、「御堂及山門の銅瓦」、寺院の金属製仏具を武器の資材として提供した。
⑤信徒に献金を募り、軍用機などを軍に献納した。
 以上のことは宗門の機関誌『大日蓮』や資料に記載されており、歴史から消えることはない。


ヒトラーを「『唯我一人能為救護』の御文を思ひ出す」
と讃嘆していた宗門機関誌
 『大日蓮』の昭和15年8月号に、宗門僧侶の福重照平氏が「巨栗山樵」の名前で文章を載せ、「ヒットラ総統は正に世紀の英雄となった」「吾人茲に到りて法華経の『唯我一人能為救護』の御文を思ひ出す」とヒトラーをまるで仏を敬うように賛嘆している。
 本年5月8日は、ドイツが第2次大戦で無条件降伏して75年であった。ドイツのシュタインマイヤー大統領はこの日、ベルリン市内で講演し、多くの犠牲者と苦しみをもたらしたドイツの歴史に触れて、「過去を思い起こすことを怠れば未来を失うことになる」「責任を認めることは恥ではない。否定こそが恥だ」と述べた。
若手僧侶は、“宗門が過去の罪を認めないままでいれば、社会から信用を失い、自分たちの未来を失うことになる”ということを、肝に銘じるべきである。(続く)

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